開咬を伴う反対咬合

開咬を伴う重症の受け口

患者さんのコメント
こちらの病院を知るまでは、手術でしか治せないと思っていました。病院も4箇所まわりましたが、どこも手術なしでは治らないといわれました。こちらの病院は家から少し遠いのですが、手術なしでも治療していただけるということで、ほんとにわらをもつかむ思いで通わせていただきました。
ずっと治らないと思っていたのに、ほんとに大げさと思われるかもしれませんが、人生が大きく変わりました。
日常で笑顔がいままでと比べ物にならないほど増えました。
ありがとうございますという言葉では足りないくらい感謝しています。

(20代 社会人女性)

院長コメント
通常反対咬合の治療法は上の前歯を前方に傾斜させ、下の前歯を後方に傾斜させて被蓋の改善を行なっています。そのために下顎の途中の歯、通常第一小臼歯(前から4番目の歯)を左右一本ずつ抜歯をして下の前歯を後方に傾斜させて被蓋の改善を行ないます。(図1 図2)
しかしこうした通常の治療法では大きな前後的なズレを解消することは不可能です。

図1)通常の受け口

図1

上の前歯が後方に、下の前歯は前方に傾斜を示し、咬み合わせが逆になっている。

図2)通常の受け口

図2

上の前歯は前方に、下の前歯は下の小臼歯を抜歯して空隙を作り、そこに前歯を後方に傾斜させて咬み合わせを改善する。

この患者さんは大変複雑な症例、骨格的なアゴの前後的な問題
(反対咬合、Full ClassIII))と垂直な問題(開咬)、さらに上下の歯列ともに著しい排列の不正を伴っていて下顎の左右の犬歯完全に歯列の外に位置しています。
この患者さんの上顎の犬歯は下顎の犬歯に対して右側で一咬頭(7.00mm)、左で半咬頭(4.00mm)と後方にあり、大きな骨格的な前後的なズレが認められます。

治療前
ex-b-01ex-b-02ex-b-03

治療中
ex-b-04ex-b-05ex-b-06

治療後
ex-b-13ex-b-14ex-b-15

図3)

図3

重度の骨格性の反対咬合では、上下のアゴの前後的、垂直的なズレが大きく、上の前歯は大きく前方に傾斜を示し、下の前歯は大きく後方に傾斜している。

特徴として骨格の前後的ズレに比べて上下の前歯の切端間のズレは小さい。

図4)

図4

従来の治療法を用いて、上アゴの前歯を前に移動すると、すでに大きく前方に傾斜している上の前歯はむしろ上方に移動してしまい、上下の前歯間のスペ-スは更に拡大し、状態が増悪する。また下アゴの前歯はすでに大きく後方に傾斜しており下の小臼歯を抜歯して、その空隙に前歯を後方移動することに限界があり、従来の方法では改善が不可能である。

前後的、垂直的な問題があり、上下の前歯の間には3.00mmのスペ-スが認められます。また、この患者さんの場合、受け口と開咬の両方の症状を伴っていて、上の前歯はすでに大きく前方傾斜、下の前歯も後方傾斜していて骨格性の受け口特有の症状を示しています(Dental Compensation )。こうしたことから通常の治療法である上の前歯を積極的に前方に傾斜させるとさらにこの開咬の症状を増悪させ、上の前歯と下の前歯の垂直的距離がさらに大きくなって咬めなくなってしまいます。また、下の前歯についても同様で、すでに大きく後方に傾斜していることから、さらに抜歯(通常第一小臼歯)をして後方に歯を傾斜させることは歯周組織(歯茎の健康状態)に対して大きな負担となることが予想され、これ以上、下アゴの前歯を後方へ移動させることは困難です。(図3)

こうした点を考慮して従来の治療法を用いることはできず、アゴの手術となってしまいます。しかしながら患者さんが手術を強く希望しないことから当院では独自の方法でこうした骨格性の複雑な症状の改善を行なっています。